当店にてPCをお預かりし、SSDのグレードアップを図るときに、一つ処理の仕方についてお客様に選んで頂く項目があります。その内容は「クローン」か「クリーンインストール」か、です。「クローン」に関しては「お使いの環境をそのままにHDDもしくは容量の小さい、速度の出ないSSDをグレードアップする方法」ということでよろしいかと思いますが、「クリーンインストール」に関してはちょっと説明が必要かな、と思っております。よく間違えるのは「リカバリ」と「クリーンインストール」の差かな、と思います。今日はその差について説明させていただこうと思います。
リカバリ
リカバリは、システムを以前の状態に戻す方法です。以下の特徴があります:
- 目的:システムの不具合やウイルス感染などの問題を解決し、安定した状態に戻すこと。
- 方法:事前に作成されたバックアップデータやリカバリディスクを使用して、システムを元の状態に戻します。
- 利点:比較的短時間で実行でき、個人のファイルや設定が保持されることが多いです。
- 注意点:問題が発生した時点の状態に戻すため、その時点で既に存在していた問題も復元される可能性があります1。
当店にて「リカバリ」という言葉を使うときは、もともと搭載されているPCを「工場出荷時の状態に戻す」という意味で使っていることが多いです。たとえば、NECや富士通のような家庭用のパソコンに関しては、このリカバリ作業をすることで「年賀状作成ソフト」や「メディア再生ソフト」、「家計簿作成ソフト」など、購入時に付属していたソフトウェア関係を保持することができます。
クリーンインストール
クリーンインストールは、システムを完全に初期化し、新たにオペレーティングシステムをインストールする方法です。以下の特徴があります:
- 目的:システムのパフォーマンス向上や深刻なトラブルの解決。
- 方法:既存のOSを完全に削除し、新しいOSをインストールします。インストールメディア(USBやDVD)が必要です。
- 利点:システムをゼロから再構築するため、以前の問題や不具合を完全に解消できます。
- 注意点:手間がかかり、すべてのデータや設定が消去されるため、事前のバックアップが必須です2。
当店でのクリーンインストールは、上記の通り「完全にストレージを消去した状態から、WindowsのOSイメージよりインストールする」ことを指します。そのため、ソフトウェアやドライバなど、旧知の問題に関してはトラブルが起こらないことになりますが、そのかわり購入時に搭載されていたソフトウェアも削除されます。当然、ご自身でインストールしたソフトウェアも消えますし、Word,Excel等のオフィスソフトも、手元にライセンスがない場合には失われてしまうことになります。
どちらの方法を選ぶかは、問題の深刻度や目的によります。リカバリは手軽で速いですが、クリーンインストールはより徹底的な解決策です。当店では、もともとお使いの環境で戻すことがお客様にとっては最善という認識のもと、クローンにてお返しするのを大前提としておりますが、問題が発生しているPCにとっては、SSDに交換をしてスペックアップをしても、システム上の問題であれば解決しないこともあります。そのため、クリーンインストールの選択肢も必要と考えております。