パソコンの動作が遅いと感じたとき、「メモリを増設すれば速くなる」と考える方は多いのではないでしょうか。
実際、メモリ容量が不足しているパソコンでは、8GBから16GBへ増設することで体感速度が向上するケースは少なくありません。
しかし、今回修理でお預かりしたdynabookでは、16GBへ交換したことで逆にパソコン全体が極端に遅くなるという珍しい症状が発生しました。
電源を入れた瞬間から遅い
今回の症状はWindowsが起動してからではありません。
電源ボタンを押した直後、メーカーのロゴ画面が表示される段階から明らかに動作が遅くなっていました。
Windowsの設定やSSDが原因であれば、通常はBIOS画面までは影響しません。
この時点で、ハードウェア側に原因がある可能性が高いと判断しました。
BIOSを確認するとCPUクロックが0.40GHz
BIOS画面を確認すると、CPUのCurrent Frequencyが0.40GHzと表示されていました。
一見するとCPUの故障にも見えますが、実際にはCPUが壊れていたわけではありません。
CPUは何らかの異常を検知すると、安全のためにクロックを大幅に制限することがあります。
その結果、本来3GHz以上で動作するCPUが400MHz程度まで低下し、パソコン全体が極端に遅くなってしまうのです。

メモリを元に戻すと正常動作
交換した16GBメモリを取り外し、元の8GBメモリへ戻したところ、CPUクロックは約3.3GHzまで正常に復帰しました。
この時点でCPUやマザーボードの故障ではなく、交換したメモリに起因する問題であることが分かります。
さらに、別のMicron製16GBメモリへ交換したところ、問題なく16GBとして認識し、起動速度も正常になりました。
メモリは壊れていなくても相性は起こる
今回使用したSK hynix製16GBメモリは、別の中古パソコンで正常に動作していたものです。
つまり、メモリ自体が故障していたわけではありません。
それでも今回のdynabookでは、BIOSの起動が遅くなり、CPUクロックが0.40GHzへ制限される症状が発生しました。
このように、DDR4-3200や16GBなど規格が同じでも、メモリチップの構成やSPD情報との組み合わせによって、特定の機種だけで不具合が発生することがあります。
これは「メモリ相性」と呼ばれ、修理現場では決して珍しい現象ではありません。
メモリ交換は容量だけでは選べない
「DDR4だから大丈夫」「16GB対応だから問題ない」と思われがちですが、実際にはメーカーやチップ構成によって相性が出ることがあります。
そのため、仕様上は対応していても、起動が遅くなったり、フリーズしたり、今回のようにCPUクロックが制限されるケースも存在します。
中古メモリを流用する場合は特に注意が必要です。
まとめ
今回の修理では、
- BIOS起動時から極端に遅い
- CPUクロックが0.40GHzに固定される
- 元のメモリでは正常
- Micron製16GBでは正常
- SK hynix製16GBのみ症状が発生
という切り分けによって、「メモリ相性」が原因であることを特定できました。
メモリ交換は比較的簡単な作業に思われますが、実際には今回のような相性問題が発生することがあります。
「交換したら逆に遅くなった」「原因が分からない」「容量は認識しているのに動作がおかしい」といった症状でお困りでしたら、SSD交換ドクターまでお気軽にご相談ください。
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